Be myself!

どこかのだれかの日記

BLACK BIRD

 

 

読了。

 

好みの問題であまりファンタジーものには手を出さないんだけど、こうやって読み始めちゃうとそこそこハマるってやつでした。暁のヨナとかもそうだった。

この作品は、妖とその"エサ"として生まれる仙果の女の子のお話。特殊な世界観の中で、苦しんで、足掻いて、ぶつかって、傷つけ合って、いろんな「愛」の形がとても美しく描かれていて良かった。

 

自分の存在を責めて心をボロボロにする実沙緒に、自分だけを悪役にしてしまう匡。匡の立場を守るために、悪役を演じられる実沙緒。

誰よりも実沙緒を守りたいのに、自身が一番その実沙緒を傷付けてしまう皮肉。自らも実沙緒を傷付ける他の妖と変わらないと自嘲する匡が、優しくて、可哀想で、とても好きだった。初めて実沙緒を抱くまでの葛藤が、匡の愛の大きさ。

 

そして、八大と呼ばれる匡の臣下達と、匡の関係性がこの作品に奥行きを出しているなあと思う。

 

世話係として、ずっと匡の側にいる相模。実は、この作品で一番胸をぎゅっと掴まれたシーンは相模だった。ごめんね、匡。

「なぜあやめを妻にしたんだ?」

「愛しているからですよ 当然でしょう」

…………!!!!!!

祥に相模の(ものを装った)髪を見せられても相模より姫様を守ることを優先するあやめさんと、斬られるあやめさんを見ても自分の使命を優先させる相模が、本当に、めちゃくちゃ格好いい。とにかく格好いい。二人の"約束"は、この二人にしか出来ない、愛の形。

 

相模の弟・伯耆。裏切ったような流れだったけど、私は、直前の匡との会話があるから、信じてたよ!♡笑

私は、何度も言ってるように、自己犠牲的なキャラが大好きなんです。だから、例に漏れず、伯耆くん好きです。しかも弟系年下キャラ…!

兄にとって庇護すべき小さい弟でしかないと自虐的になる伯耆くんだけど、結局、相模は"悠"じゃなくて"伯耆"って同志として呼んでて、伯耆くんは"兄さん"なの、とっても可愛いと思うよ。鵺にやられた時も、祥にやられた時も、お兄さんが一番近くで看病してるのがとても良い。

この作品は、悲しい結末を迎える血縁が多いけれど、令と悠の兄弟は本当にオアシス。

 

本家・匡の義兄弟である前鬼。ここの関係性も素晴らしい。ここって同い年だっけ?ちがうっけ。

祥に封印を解かれて、自分の暴走を止められない前鬼を、自らの身を剣の鞘にして受け止めとめる匡。我を忘れた"妖"など殺すしかないと誰もが思っていそうな中で、ちゃんと"前鬼"を見ているんだよね。

「誰も近寄れねぇほど暴れるから皆わかんねぇんだよ 急所外すくらいは 理性が残ってるって もう苦しむな 前鬼」

この二人の関係性ってすごくないです?

泣きながら「殺してくれ…」って言う前鬼を見たいられない。

 

豊前さん。匡側に内通者がいるってなった時、狼の名前がまだ出てなかったから、豊前がゆりが慕ってた義兄さまなのか?ってちょっと疑ってた。ごめんよ。

先代の腕が斬り落とされたとき、止血に駆け寄ったのが豊前だったのがなんか良かった。ワンシーンだけなんだけど、こういう細かい所で関係性を窺い知れるのが、この作品の好きなところかも。

 

匡と実沙緒の視点では、運命を、自分で選んで、自らの手で勝ち取った。それに対して、兄・祥の運命はとても悲しい。

かえでが匡に言い放った言葉が刺さった。それに対する匡の言葉も。祥と匡の真逆を行く部分が紙一重のようにも思えて、全く違う運命を歩んだことが苦しい。祥を、あれだけのことをしてもただ嫌うことは出来なくて、ああいう結末を迎えるしかなかったことが痛々しく思えるようで、黒幕だけど魅力的に描かれていてとても印象的だった。最期にああいう形で、逝ったとき口角が上がってたのは、唯一の救いだったよ。